トピックスレポート
見た目よし 味もしっかり 誤嚥防止 “一石三鳥”の介護食
2023/10/9
- 「やわらか食」を食べて「おいしい」と
伊藤さん(左)に伝える利用者
高齢者にとって「食べること」は楽しみや生きがいの上から重要であり、デイサービス利用者の楽しいことの第1位は、食事と云われています。一方、高齢者にとっての食事は、生活のリズムや季節感を感じることができたり、元気で生活するために必要な栄養素を身体に取り入れたりするためにも重要な行動です。
かつてJAは、噛む力、飲み込む力などが弱くなった利用者には、食材を細かく刻んだり、ミキサー食にしたりするなどの方法で食事を提供してきましたが、見た目や食べ残しなど課題が多くありました。
こうした声を踏まえ今年6月に「やわらか食」と「ムース食」を導入しました。「やわらか食」は、酵素を使って舌でつぶせる程度まで食品を軟らかく加工した介護食で、「ムース食」は、さらに軟らかくしたものです。見た目は、通常の食事と変わらず、味付けがしっかりとしています。咀嚼(そしゃく)しやすく、誤嚥(ごえん)しにくいのもメリットです。献立は30種類以上あり、電子レンジで温めるだけと提供方法も簡単です。
介護支援部の統括責任者を務める伊藤まき子さんは「食事は身体のみならず認知機能の維持改善にも重要。1日3食の1食にしか過ぎないが、すべての利用者に楽しくおししい食事の時間を提供したい」と話します。「やわらか食」「ムース食」を導入してからは、確実に食事量が増加しました。利用者が「普通に食事ができる」という気持ちになったことも大きいと分析。家族やケアマネジャーからも好評といいます。
今後、施設内に限らず、幅広く「やわらか食」を取り入れていく考えです。